STAFF INTERVIEW 社員インタビュー

瀧口翔

アートセクション / キャラクターアーティスト / 2015年4月入社
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瀧口翔

会社も僕も楽しんで作り続けているそんな会社のままであったら

キャラクターチームについて

キャラクターチームでは、キャラクター3Dモデルの制作や実装をしたり、それに紐づいた設定――たとえば、特殊なエフェクトをふんだんに実装するとき、どこに表示するかの位置を合わせたり、アクションゲームなら当たり判定を設定したりと、それらを実際のゲームエンジン上のどこでどう仕込むかの対応などをしています。

そのため、GhMの現在の制作方法ともあいまって、かなり幅広く他のチームと関わります。キャラクターの仕様が決まったあとに、実際にデータとしての形を決める最初の行程を握っていますし、それゆえ先ほど話した各種の設定や、動きから逆算したキャラクターに必要な構造の提案などを、それぞれのチームと打ち合わせします。

簡単に言えば、手元に届いた“遊び”としての仕様を、ほかのチームと連携を取りながら、“データ”としての仕様に落とし込んでいくイメージです。

チームには現在3名のスタッフがいます。僕はリーダーといいますか、各キャラクターのおおもとの仕様や作業内容を策定したり、プロジェクトによっては外部の協力会社に委託した部分を管理したりなどしています。頻度は下がっていますが、自分でモデルをいじることもありますね。

GhMに入るまで

専門学校を卒業してから新卒としてGhMに入り、そろそろ9年めになります。学校で映像とゲームのふたつのコースから進路を決めるとき、ゲームを、ゲームの中でも3Dモデルを選択しました。というのも、それまでもリアル寄りの3Dキャラクターモデルを作れる会社を目指し、それに向けた勉強をしていましたので。

瀧口翔

学校ではツールとして3dsMAXを使っていましたが、会社が実際に使っていたツールはMayaでした。新卒の方など、学んできたツールと実際に使うツールが違うと「自分がどれくらい通用するのか?」、「新しく勉強しないといけないのか?」など不安になることもあると思いますが、ツールはあくまでも目的を実現するための選択肢のひとつ。作りたいものの形状・構造を考える力が備わっていれば、どんなツールを使っても人は適応できると私は実体験から感じています。クルマの種類が変わっても運転は変わらないようなイメージですね。

ゲームとの関わり

就学前からスーパーファミコン、小学校に入る前後にニンテンドウ64で遊んでいました。5つ上の姉や、僕が寝たあとに父親がこっそり『スターフォックス64』や『テュロック』で遊んでいるのを見つけては、「ずるいずるい」、「ちょっとやらせて」なんて会話があったり、ときおり母親も参加して家族揃ってゲームで遊んだりなどする、ゲーム好きの一家に育っています。その母親も率先してゲーム雑誌を買ってきたり。

ですが「ゲームの仕事に絶対に携わるんだ」という堅い意志を持っていたわけでもないんです。普通の商業高校に通いながら、「手に職をつけないと」と強く感じていたときに、先に姉が専門学校から映像業界に進んで行ったんですね。それを見て、「ああ、そういう選択肢もあるんだ」と考えたのが、ゲームを仕事にしようと思った最初です。

ビデオゲーム以外には、子どものころから『遊戯王』、『ポケモンカード』などカードゲームがとても好きで、やがてその趣味がデジタルのカードゲームにも広がり、いまは『ハースストーン』や『グウェント』をおもにプレイしています。カードゲームのイラストが好きなんですね。カードとして映える、ゴチャゴチャしたデザインのクリーチャーが好きで。「それらを操作したい」という気持ちが、「3Dキャラクターを専門にしようかな」という動機に繋がっていると思います。

それから高校のときにヒマを持て余して(笑)柔道部に入っていたのですが、これは強いものへの憧れからです。柔道部での経験が、「どういう筋肉がかっこよくて強いのか」というようなことを考え始めた根底にあるんじゃないかと思います。

GhMとの関わり

専門学校で「進路を本格的に決めないと」というタイミングで、自分のやりたいことを整理していたとき、母親が買ってきていたゲーム誌にあった『Killer7』の記事の記憶が蘇ったんですね。3Dがようやくまともに描画できるようになり、どの会社もいかにリアル寄りに描くかを模索していた時代に、ポスターチックというかセルルックの思い切った表現が、当時はプレイできない年齢だったにもかかわらず強く印象に残っていたんです。

それをきっかけにGhMを調べ、それから『LOLIPOP CHAINSAW』を実際に遊んだところ、『Killer7』に感じた「どこかちょっとおもしろいことをやっている」という感覚をずっと発信し続けている会社だと確信し、志望しました。大きな会社ともどこかちょっと違う、何か別軸のおもしろさに挑んでいるところが、自分の性に合ったんですね。

入社する前は、「ああいうゲームを作っているところだから、きっと全身ピアスだとか、見るからにパンクな人ばかりだろう」など、アンダーグラウンドを感じさせる人たちだらけなのではと怯えていましたが、いざ入ると、見た目はとてもマジメそうな人たちばかりだったのがいちばん驚いたところです。

ところがいっしょに働くと、全員がそれぞれ別の方向にとても尖っていると感じることが多々あります。たとえば本当にディープなアメコミ好きとか、自分でエンジンを作って進めるプログラマとか、資産運用の達人とか、社内で何かしら声を掛けたら、誰かしらそのエキスパートがいそうだと感じるくらいには尖っています。その代表格が須田さんなんですが(笑)。結果として、入社前のイメージは意外と間違っていなかったわけです。

ですから、いっしょに働く相手としても、「自分の好きなものについてならずっと語れる」というような、自分に芯がある人はやりやすいですね。スーパーヒーローではありませんが、「このことならこの人に任せておけば無敵」というような人がいると、刺激にもなるし、お互いが知らない分野を補い合えるので。

須田さんについて

須田さんは、最初は「立場に関係なく、とても身近にいろいろな話をしてくれる人だな」と思いました。ですが僕も新卒で入ってもうじき9年め。須田さんといろいろ直接話す機会も多くなりました。そのうえで強く感じるのは、それだけ近くでいろいろ話をしながらも、人に「須田さんはこういう人なんですよ」と完全に説明できないことです。関われば関わるほど底が知れないというか、まったく行動が読めません。そこがすごく魅力的だと思います(笑)。

瀧口翔

それがそのままゲームに反映されているのがGhMのゲームの特徴です。だからか、GhMに集まる人たちからは、押し並べて同じような底知れない雰囲気を感じます。ニュータイプどうしが惹かれ合うとか、スタンド使いは引き寄せ合うとかみたいなものですかね。でもどれだけ引き寄せられても、ボスが強大すぎるんですが(笑)。

働きやすさ

働いていて「いいな」と思うのは、刺激的なところ。先ほども挙げましたが、専門の分野だと桁違いな量の知識を持っている人が多く、ひとつのキャラクターを作るにあたっても、本当にさまざまな情報が入ってきます。それらを取り入れて勉強するのはもちろんですが、みんなが好き勝手にまくし立てたのと同じように、自分からもアイデアを提案しやすいんですよね。それが働いていて楽しい部分です。

これはよくも悪くも、ひとつのタイトルを作るとき、細部までカッチリと決めまくってから作るスタイルではないのがいちばんの要因かなと思います。現場で話し合う段階で、みんなで寄って集っていいものにしようと「このキャラはこうあるべきだ」とか、「こうしたほうがカッコいい」などの話をいろいろと入れ込める余地があるんですね。そのぶん非効率的になるところもありますが(笑)。

将来について

3Dモデルを作る方なら、誰にも好きな工程というものがあるだろうと思います。数年後は、各スタッフのそういう意志を尊重しつつ、自分も実作業を続けながら製作欲を満たすことができればいいなと思っています。同時に、これまでに揉まれて得た知見を活かし、現在あまり効率的でない部分をどう整えるかなど考えながら、プロジェクト全体のディレクションができているようになっていたいですね。

でもその一方で、須田さんが溜め込んでいるやりたいこと、好きなことが弾けたようなゲームを楽しんで作りつつ、遊んだり眺めていたりもしていたい。そうしたものを作るとき、各アーティストが不自由なく作業できる環境も整えていたいですね。そうやって会社も僕も楽しんで作り続けているということが、自然と後輩にも伝わる会社のままであったらうれしいなと思います。好きなんですよ、GhMが。

瀧口翔